Undertale RTAガイド [準備編]リメイク

この記事はUndertaleのネタバレを一部含みます!

 

UndertaleはそのRTAのしやすさから海外RTA勢からの人気も熱く、海外のスピードランサイトである「speedrun.com」ではこれまでに800人以上の走者が記録を投稿しています。日本でもRTAイベントなどの配信によってRTAが周知され始めたこともあり、走者も少しずつですが増えてきている印象です。

他の方の走りを見て、これから始めてみようかと考えている人もいるでしょう。そういった方のために少しでも参考になればと思い、ここに書き記すことにしました。

まず初めとして、UndertaleでRTAをする際に何をすれば良いのかを書いていきます。

テクニック・(パンチカード)バグ技についてガイドはこちら
Undertale RTAガイド [テクニック・バグ編] - 紙切れに開けた穴を通して見える景色は



【見出し】


初めに(より詳しいガイド一覧)

* 今すぐRTAについて全て知りたい人はこのURLを見てください。(文章は英語)


docs.google.com

複数の走者が情報共有して書き上げられたUndertaleのRTAガイドです。基本的にここに書いてあることを読めば必要なことは全て分かります。各カテゴリーのチャートもかなり詳細に載っているため、走る方は熟読しましょう。

* そして日本の走者さんが上のガイドを翻訳したものがこちらです。


docs.google.com

元の英文を丁寧に翻訳してあるので、英語が苦手な方にも安心です。現在は概要とバグ有ルートのみ翻訳されています。あれ、もうこの記事要らないのでは?

* これと一緒に見ればほぼ全てのカテゴリーの知識をカバーできます。


www.speedrun.com

海外のスピードランの記録集積サイト「speedrun.com」のUndertaleのガイド集です。英語ですが、キー入力を可視化しながら実際にやり方を見せているビデオが付いているものもあり、テクニック面の練習にとても役立つでしょう

以下の説明は、上記ガイドを参考に最低限必要なことを日本語で書いたものとなっています。



Undertale RTAの基礎的なルール

多くのカテゴリーに関して共通する必須ルールを2つ(と、もう1つ)書きます。
ニコニコ動画に投稿する際も、(特殊なルールを除いて)①と②は守るようにしましょう。

①セーブデータの完全リセット


Undertaleのゲーム内リセットは完全にゲームのフラグをリセットすることができず、セリフの変化からタイムが変化してしまいます。

そのためRTAをする際は「セーブフォルダ内のデータを削除する」ことが要求されています。

Undertaleのセーブフォルダは、ユーザーファイル内の
「(ユーザー名)→AppData→Local→UNDERTALE (UNDERTALE_Linux_steamver)」
の中にあります。「appdata」は隠しフォルダ扱いなので注意。


f:id:asiraM_6053:20211002174447p:plain
この中に含まれているデータを全て削除することで完全リセットが完了です。


※プレイにゲームパッドを使用する人の場合は、ボタン配置の情報を保存している「config」ファイルのみ残しておいて構いません。それ以外は全て消してね。

ただしsteamのクラウド機能を使用しているとセーブデータが復活する可能性があるため、steamの設定画面の「クラウドを有効にして~」のチェックボックスをOFFにしておいてください。

RTAの最中に失敗してやり直しする場合は、再度開始前にセーブフォルダ内を削除することを忘れないようにしてください。冒頭のFloweyのセリフが変化するため、一発でバレます。

デバッグモードのOFF


このゲームではゲームデータの一部情報の書き換えにより、デバッグモード」と呼ばれるRTAの練習にとても最適なモードを起動することができるようになっています。
(詳しくは「デバッグモード」の見出しを参照)

ただし本走の際にはデバッグモードは失格行為とみなされるため、デバッグモード使った練習の後に本走を始める時はOFFにしたかを確認してから走るようにしましょう。走り始めた数十分後に判明した場合は目も当てられませんからね。

デバッグモードONの状態では、特有の表示が見えるようになるため誤魔化せません。

(③MODやパッチの解除)


speedrun.comではMODやパッチの類を当ててRTAをすることは認められていません。
このサイトに記録を投稿する際はそれらを解除してから走る必要があります。

ただし、以下の場合に限り改変が認められます

  1. ロードの高速化のためにフォルダ内の『steam_api.dll』を削除すること
  2. OGGファイルを差し替えて、ゲーム内のBGMを別のものに変更すること
  3. 各バージョンを導入するためにSRCが用意したパッチを適用すること

2017/8/16 より公式日本語版が発売されました。言語を日本語にして記録投稿することはspeedrun.comでも認められます。


各カテゴリーRTAのルール


どのルールで走るかをあらかじめ決めておきましょう。基本的に自分の好きなルートを走るのをおすすめしますが、それぞれ難易度が異なるためプレイヤー本人の力量との相談になるでしょう。
英語バージョン(v1.0~1.001)と日本語バージョン(v1.05~)でカテゴリーが分離されているので、speedrun.comへの記録提出の際はご注意ください。


♡ Neutral Ending(Nルート)♡
通常ルートをできるだけ早く攻略します。
パンチカードバグ等のバグ技はいくらでも利用して構いません。
イベント攻略やバグ技の技術や知識を問われる難度の高いRTAです。

・タイム計測開始地点:名前決定の「Yes」を押した瞬間
・タイム計測終了地点:Photoshop Flowey戦後の扉に触れた瞬間

このカテゴリーのチャート → リンク

♡ True Pacifist Ending(TPルート) ♡
できる限り早くみんなと一緒に地上に帰還してください。
パンチカードバグ等の使用は認められます。
Nルートと同様の知識・技術の他に、TPルートへの攻略テクニックが問われます。

・タイム計測開始地点:名前決定の「Yes」を押した瞬間
・タイム計測終了地点:スタッフロール前の、Torielと手を繋いだ後に表示されるテキストボックスを閉じた瞬間

このカテゴリーのチャート → リンク

♡ Genocide Ending(Gルート) ♡
ケツイの元に、地下世界の虐殺に励みましょう。
一部バグ技が存在するため、それを使用してもOK。
他のルートと比較して強力なボスが居るため、それらの練習は必須でしょう。
また、エンカウント運によってタイムに大きく影響が出るRTAでもあります。

・タイム計測開始地点:名前決定の「Yes」を押した瞬間
・タイム計測終了地点:Charaの問いかけに「ERASE」もしくは「DO NOT」を選んだ瞬間

このカテゴリーのチャート → リンク

♡ Neutral Glitchless(Nルート バグ禁止) ♡
通常エンディングに臨んでください。
ただし、バグ技の使用を一切禁止されています。
Gルートに酷似したチャートですが、Core殲滅とSans戦が必要ありません。

・タイム計測開始地点:名前決定の「Yes」を押した瞬間
・タイム計測終了地点:Photoshop Flowey戦後の扉に触れた瞬間

このカテゴリーのチャート → リンク

♡ TPE Glitchless(TPルート バグ禁止) ♡
平和主義を貫いて、早く地上に出てください。
ただし、バグ技の使用を一切禁止されています。
唯一Mettatonイベントを攻略する必要のあるRTAのため、これを突破するための知識が要求されます。

・タイム計測開始地点:名前決定の「Yes」を押した瞬間
・タイム計測終了地点:スタッフロール前の、Torielと手を繋いだ後に表示されるテキストボックスを閉じた瞬間

このカテゴリーのチャート → リンク

♡ All Yellow Credits (全クレジット黄色化)♡
エンディングのモンスターの名前部分を全て黄色にしましょう。
基本的にTPルートRTAと同じですが、各モンスターへの適切なACT法やエンカウント手段を追加で覚える必要があります。

・タイム計測開始地点:名前決定の「Yes」を押した瞬間
・タイム計測終了地点:スタッフロール前の、Torielと手を繋いだ後に表示されるテキストボックスを閉じた瞬間

※証明のために、録画はエンディング終了まで続けることをオススメします。

♡ Misc.(その他) ♡
この他にもTemmieさんを大学に行かせるRTAや、Lesser Dogくんの頭を画面端までめり込ませるRTA、Hard ModeのRTAといった特殊カテゴリーもたくさん存在しています。

・Hard Mode
・Lesser Dog
・Temmie College
・Early Punch Card
・New Game+
・Soulless Pacifist
・All Endings
・Low% 等

チャート・資料は以下のURLから確認してください
その他カテゴリーRTAのための最低限な攻略資料


基本的に走る人の好みは「N・TPルート系統(①②⑤⑥)」か「Gルート系統(③④)」で分かれると思います。

初心者さんへのおすすめは
「N・TPルート系統」 → TPE Glitchless(TPルート バグ禁止)
「Gルート系統」 → Neutral Glitchless(Nルート バグ禁止)
です。

この両者なら難しいバグも不要のため、気軽に走ることができます。



ゲームのバージョンについて


実はUndertaleには複数のバージョンが存在し、
どのバージョンを使うかによってRTAの難度やタイムが変化していきます。

現在RTAで主として用いられるバージョンが3種存在し、以下の通りです。


①Version Linux v1.001

これはLinux OSユーザー向けにリリースされたバージョンです。
Linux OSユーザー向け」とは書いたものの、データファイル名の拡張子をwindows用に変更してwindows版のデータと差し替えることでwindowsユーザーでも使用可能です。(ガバガバじゃねぇか)

☆特筆すべき点として、
ZキーとEnter(共に決定ボタンに当たるした状態でもう片方のキーを押しても入力がキャンセルされずに認識してくれる仕様となっています。


このバージョンのおかげで、パンチカードバグを使う際の1フレーム差入力や高速文字送りの難易度が格段に下がりました。

②Version v1.05

言語設定として「日本語」が初めて追加されたバージョンです。
文字数の関係から日本語版でプレイすることによってタイムを短縮することができます。

アズゴアの戦闘前やアンダインの口上イベントの設定にミスがあり、これが修正される以降のバージョンより数秒短くなっています。

ただし今バージョンよりシステムが変更され、同一ボタンの1フレーム差の操作が受け付けられなくなりました。このため、以前可能だった一部のバグ技を使うことができなくなっています。

③Version v1.11(Switch)

Switch版のバージョンです。
Switch版特有のボスが追加され、All Yellow Creditsのカテゴリーに専用ルールを追加するきっかけとなりました。

また、このバージョン最大の特徴として「長いエレベーターはスイッチを押さなくても部屋を出入りするだけで各階を往復できるバグ」が存在し、この結果理論上のGルート最速バージョンという立場を得ることとなりました。

もう1点の特徴としてレモンパンとの戦闘をスキップできることが挙げられますが、Switchに繋げることのできるキーボードが限られている点や多重起動ができないことなどから、その他のカテゴリーにおいてはPC版よりも遅くなるとされています。


また現在、日本語版導以前と以後でカテゴリーが分離されています。日本語版の最速は「v1.05」、英語版の最速は「v1.001Linux」となっています。両者を比較すると、日本語版が早いことがほとんどです。

日本語版は一部のイベントスキップが使えない状態ですが、文字数が短い分だけ各イベントの時間が短くなります。封殺されたスキップ分を加味して余りあるほど短縮が見込めるわけです。
またLinux版の同時押しがキャンセルされない」という特性はバグ技や文字送りの精度を格段に上げるため、バグを使用するRTAでは有利なバージョンとされています。



各バージョンの導入法


各バージョンの導入方法を書いていきます。基本的に①か②を導入することをオススメします。
Steamからの導入方法ですので、DRMフリーで購入された方はsteam用コードをもらい、steamからダウンロードしてください。







ただしこのままだと起動できない人が居たりと、何かしらの支障が出ると思います。原因の大半はアプリケーションのsteamとの連携です。そういった方はこの先にある「高速ロードの準備」の見出しを確認してください。

また、導入終了後に一部ユーザーで「音がならない」という問題が発生すると思います。これはゲームフォルダそのもの、あるいはそれより上の階層のフォルダ名に日本語が混じっている場合に起きます。v1.001の頃のUndertaleくんは日本語がワカラナイのです。
デスクトップにRTA用フォルダを用意した場合、大抵はユーザー名が原因です。
その場合はフォルダをCドライブ直下に置くなどして、代わりにexeファイルのショートカットを作ってデスクトップ等の分かりやすい場所に配置すると良いでしょう。



高速ロードの準備(PC版)


Steamで購入したUndertaleを起動する場合、通常は初めにSteamへの接続を経由するかと思われます。しかし、このせいでロードに時間がかかり、再起動の時などにタイムロスしてしまいます。

そのためSteamへの接続機能を遮断してやることで、ロード時間の短縮をすることができるようになります。speedrun.comのルールでも、例外的に認められている手法です。

各バージョンによってやり方が異なるため、それぞれ明記します。

①Version v1.001以降のすべてのバージョン

導入の際に用意したフォルダ内の「steam_api.dll」というファイルを削除してください。
これで完了です。

※v1.01Linuxとv1.05は前述の手順通りに導入していれば既に削除された状態になっているはずです。

②Version v1.0

Steamフォルダ内のUndertaleのフォルダに「UNDERTALE.exe」が単独で入っていると思います。
これを「7-zip」等の解凍ツールを使って解凍してください。

解凍して出来たファイルは任意のフォルダを作って全て移し、その中の「steam_api.dll」を削除して完了となります。

これを行った後にv1.0で走る際は、作成したフォルダ内の「UNDERTALE.exe」を経由して起動するようにしてください。



デバッグモード


data.win内の一部の数値をいじることで、Undetraleをデバッグモードで起動できます。
その場でセーブしたりロードしたり、ワープや戦闘呼び出しなどもお手の物です。これらの機能を活用することでRTAの練習をより効率よく行うことができるようになるでしょう。

注意すべき点は、デバッグモードを起動させたままRTAを行うことはルール違反であるということです。*3
RTAを行う際は、デバッグをオフにした通常のデータを用いるようにしてください。
あらかじめデバッグモードを適用したものとしていないものをフォルダ分けして、名前などで分かるようにしておくことをオススメします。






Discordコミュニティ


「Discord」というテキスト・ボイスチャットアプリケーションにてUndertaleのRTAコミュニティがあります。Undertale RTAについて質問・議論を交わしたり雑談を行う場所です。RTAに興味がある人、これから走ってみたい人も歓迎します!PCブラウザを使えば会員登録の必要もありません。
日本向けのサーバーも新たに作りました。是非ご参加ください!

* Undertale Speedrunning Community 【英語サーバー】


discord.gg

※ 規模が大きく情報も集めやすいです。
※ 日本人向けの日本語チャンネルが開設されました!

* Undertale RTA (JP)【日本語サーバー】


discord.gg

※ ひっそりとやっています。日本走者さんがいるので質問も可能です。


最後に


パンチカードバグやGルートのボス戦の練習をする際、それぞれの場面のセーブデータがほしいと思う時があると思います。

以下にリンクを張っておきます。
http://www.speedrun.com/undertale/resource

ここのページにあるSavesという欄には、バグ技を使う各シーンの直前のセーブデータや、Gルートの2大ボスとの戦闘直前のデータ、特殊カテゴリーで使用する専用のセーブデータなどが投稿されています。

各場面の練習に大いに役立つと思います。

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ここまでの作業を行えば、あとは実際にRTAをするだけです。
先駆者のチャートを参考にしたり自分なりに検証を重ね、自己ベストやライバルの記録を上回れるよう目一杯楽しんでください。


それでは、ここまで読んでくださりありがとうございました。
読みづらい所もあるかと思いますが、少しでも参考になれば幸いです。

あなたが良いタイムを記録できることを心より願います。

*1:配布ページでは『1.001 Linux on Windows patches』という名称

*2:配布ページでは『Downpatch 1.08 to 1.05』という名称

*3:ただし、一部の特殊カテゴリーではデバッグを用いて行うものが存在する